言ってはいけない 残酷すぎる真実

言ってはいけない 残酷すぎる真実 / 橘 玲 著

もしこれが本ではなくて、何かの集まりでの内輪の話だったとしたら「まあ~まあ、なざわざそんな事、とりたてて大きな声で言わなくても」と正義感の強い人や事なかれ主義や常識人の方などに軽くいなされてしまう感じの、内容が書かれている本です。

著者はあとがきで「ちなみに私は、不愉快なものにこそ語るべき価値があると考えている。きれいごとをいうひとは、いくらでもいるのだから。」と記しています。トビラには「この社会にはきれいごとがあふれている。人間は平等で努力は報われ、見た目は大した問題ではない‐だがそれらは絵空事だ。往々にして、努力は遺伝に勝てない。知能や学歴、年収、犯罪癖も例外ではない。この不愉快な現実を直視せよ」とあります。

みんな、うすうす感じていることを、行動計量学や行動遺伝学のデータを引用してズバッと明快に分析してあるのは、確かに面白いですが、そんなにネガティブな結果の事象ばかりをずらずら並べなくてもいいんじゃない?と思います。引用されている実験から導き出された結果は、新たなデータや仮説によって、将来、書き換えられることもあるでしょう。

悲惨で無慈悲な現実をセンセーショナルに書き立てると興味を引くし、本も売れるのでしょうが、悲観的な遺伝子を持つ人がことさらに多い(本書で知りました)日本で、それ必要~?そんなに自虐の民をさらに打ちのめさなくても~。多分、インドとかメキシコ(全くもって私の偏見)とかではちょっと必要な感じがするけど、そんな国では絶対に売れないだろうな~(これまた偏見)。話半分に聞いとくのが、真面目すぎる日本人にはちょうどいいと思います。

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