できる人はダラダラ上手 /アンドリュー・スマート

「アイディアを生む脳のオートパイロット機能」という副題がついている本作は、スウェーデン出身の神経科学者がダラダラとする事が人類にとって非常に有効であるばかりか、健康にとって必要不可欠であることを、科学的なデータを基に明らかにしています。この本の本文の最初の一行は「これは何もしないでいるための本です」そして「何もしないことは、実はもっとも重要な活動です。」と続きます。アメリカでは可能な限り忙しくするのが義務化、中国の工場では輪番創業の効率を最大化するため時間管理を極限まで推し進め、自殺が多発しているそうです。そもそも人間の脳はマルチタスクには対応していないし、マルチタスクができる人ほど注意力が散漫だというのを読んで、苦手な私は安心しました。複雑な脳のネットワークは休むことで血流が増え活性化するので、脳を安静にする時間が多い人ほど”ひらめき”の瞬間も多くなるという事です。これからは、効率性を高めるために、怠惰が奨励されるという時代がくると、平和でいいなあと思います。
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